Ortofon MC-20を入手!

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一番古いのが一番調子がいいみたいなんです。。

紹介する順番が逆になってしまいましたが、このMC-20、実は前回のJICOのSAS針より先に入手していました。
出処はリサイクルショップの小物ジャンク陳列ケース。
コロンと転がっていたのを、チップがついていてることだけチェックして確保したものです。

MC-20の発売時期は1976年〜79年ですので、実に40年近く前のものです。

Ortofonには、ステレオLP初期からSPUという有名なカートリッジがあり、なんと今でも作っています。
SPUはステレオカートリッジのベンチマークとして多くのメーカーに参考にされ、日本ではNHK放技研がSPUをもとに、放送用カートリッジを開発、それが後のDENON DL-103とも言われています。
かたや、MC-20は、発売当時ハイコンプライアンスが流行りの頃で、雑誌などの評判(論調)としては、SPUは針圧重めの古い設計でドンシャリでレンジが狭く古臭いサウンド。MC-20の方がワイドでフラットで近代的でHiFiだという感じでした。
Ortofon自体も、良くも悪くもOrtofonと言えばSPUというイメージを変えようとしていた様にも感じた時期でもあります。
ちなみに、MC−20は日本人が設計を手がけています。(この方は現在でも千葉でカートリッジの会社を主宰されています。)
なお、私の「初Ortofon」は友人宅のMC-30とMC-10でして、SPUの音はずいぶん後になってから聞くことになるため、私のOrtofonのイメージはワイドでフラットで繊細というものになっています。

当時、MC-20の価格は33,000円。SPUが30,000円で買えた時代でした。
現在のMC-Q20がほぼ同じ仕様/グレードで71,000円と倍以上の値段になっていますが、物価変動と圧倒的に少なくなっているであろう出荷数を考えると妥当以上に頑張っていると言えるでしょうか。。
特性は内部インピーダンス2.5Ω、出力0.07mVと、低インピーダンス低出力電圧の典型的なMC型で、その特性ゆえ昇圧トランスやヘッドアンプの性能がモロに表れることから、それら周辺装置への投資も含めると結構ハードルが高かったはずなのですが、すこぶる評判が良かった様です。(実際、私個人はMCトランスまで手が回らずに、アナログから撤退しています。。)

しかし、今や我が家のフォノイコライザーはこだわりの自作バランス仕様で、業務用音響機器やオーディオトランスを製造しているT社OBの方が作ったスーパーパーマロイコアのオートトランス式3ポジションのMC昇圧トランスを搭載しています。
やっと、このトランスのLOWインピーダンスポジションが実力発揮する時が来ました。

入手したMC-20の状態はスタイラスチップ周りに汚れがこびりついていて、チップが殆ど見えないくらいでしたが、ナイフで削った爪楊枝を使って汚れを取ると綺麗なスタイラスが顔を出しました。
早速レコードを掛けてみると、そのサウンドはまさしく私の知っているOrtofonのイメージそのままのワイドでフラットで繊細なものでした。
記憶にあるMC-30より柔らかく優しい感じもしますが、カートリッジ以外のコンポーネントも全て違いますし、持っていないものとの比較は不毛なので、今はこれ以上は求めないことにします。(笑)
いずれ、私の手持ちカートリッジの中ではダントツに好きな音です。

また、MC-20のスタイラスチップはファインラインと呼ばれるラインコンタクト系の形状でレコード内周側の歪みの増加も抑えられていました。
しかし、手元にあるのは、汚れでチップが埋まるほど使い込まれたアラフォー選手。
内心ドキドキしながら、内周の歪みが分かりやすい&聞きまくって耳タコなLPで確認すると。。。なんとこちらも我が家のカートリッジのなかでは一番歪み感が小さく、ストレスなく聞こえます。

そういえば、針交換で戻ってきたスタイラスをチェックしても、歪みが増えるほど針先が減ったのは殆ど見たことがない。という技術屋さんの話を思い出しました。
その方は、普通に手入れして汚れを取ったレコードを掛けてる分には、ダイヤモンド針の寿命は一生もの。
カートリッジの寿命は、不幸な事故、ダンパーのヘタリ、内部断線によるものがほとんどだ。とも言っていました。
確かに、手持ちのなかでも、MMC1〜5はダンパーがやられたり内部断線したりで使えなくなっているのがありますが、MMC-20CL、LM-20H、AT-32EIIは問題なく使用できます。

これは出物をゲットしたようです。

問題もあります。
好みのサウンドなのはよいのですが、MCトランス、フォノイコライザー、パワーンプのトータルゲインが不足しています。
当初イコライザーゲインは高めに作っていたのですが、現行OrtofonのMC-Q5があまりに大出力だった(内部7Ωで出力が0.5mVもある)のでゲインを下げていたことと、デジタルメインで考えて作ったアンプのゲインが20dBと低めなことから、0.07mV出力のMC-20だとフルボリュームでも1W出ない計算です。
夜中は良いですけど、誰もいない昼間に楽しむには物足りません。
またまたフォノイコライザーをいじってゲインを10dBほどアップさせました。
(ここが自作の良いところ。簡単に定数いじれます。)
それでもフルボリュームで数Wでるかないかですので、アナログでカートリッジをとっかえひっかえするにはパワーアンプのゲインもあと6dB位は上げた方がいいようです。
こちらは、そのうちやるのToDoリスト入り。

ニアフィールド使いで大ボリュームで聞くのでなければ、ゲインは可能な限り小さめの方がノイズレベルも下がりいいことだらけなのですが、アナログが入ると、元のレベルも低めでかつ様々ということもあり、昔のアンプのゲインが40dB位あったのには訳がある。というのを今更実感しました。(苦笑)

我が家一番の老兵が一番いい塩梅って、なんだかなぁ。。