以前勤めていた会社が使っていたコピーのひとつに「HiFi is dead」というのがありました。
どんなブランドでも、最新技術も枯れた技術も平等に取り入れられるチャンスや環境はあるし、 スペックだけならほぼ測定限界まで追い込まれてるので「スペックや抽象的表現でHiFi競争することはしません」というメッセージです。
もうひとつ「技術は人のために」というコピーもありました。
いわく、メーカーはシェフであると。
素材を吟味し、味付けを考え、適切な調理で料理に仕立てる。
素材、設計、製造全てが高度に連携して初めてすばらしい製品になると。
すばらしい製品の評価基準は人それぞれの価値観ですので、寿司、懐石、フランス、イタリアなんでもいいでしょうし、見た目と味のバランスに拘るのもありでしょうし、きたなシュランよろしく、汚いけど安くてうまいとかもありでしょう。
んで、今日のお題の電線病。
オーディオ、ステレオでのコンポーネント選びって、楽しみのかなり重要な部分を占めるところかと思います。
いろいろとっかえひっかえしながら、好みの音に仕上げていく。
その中に、パーツ/アクセサリーの交換というのもあります。
お手軽に出来るのが特徴で、その代表格とも言えるのがケーブル(電線)ではないでしょうか。
電線で音が変わるのか!?と侮る事なかれ。
確かに違いが出たりします。
ただですね。。。
ちょっと行き過ぎてやしませんかねぇ。
1.5mの電源ケーブルでン万円とか。。。。
テーブルタップがン万円とか。。。。。。
スピーカーケーブルがン万円とか。。。。
RCAプラグがン万円とか。。。。。。。。
線へのこだわりが大変強い方を「電線病患者」と呼びます。
それで世の中のお金周りがナンボかでも良くなればそれはそれなんですが、虎の子叩いてまで変える物ではないと思うんですよね。。
まあ、貧乏の僻みだと思っていただいてもいいんですが。w
例えば電源ケーブル。
電力会社の柱上トランスで6,000Vから単相3線100Vに変換され、更に数戸に分配されながら、お宅の積算電力計、ブレーカーを経由して、壁のコンセントまで来る部分の線には変わりがありません。
その後、機器までのたった1.5mをン万円のケーブルに変えて、一体どの程度の変化があるのでしょうか?
それにですよ。
家のAC100Vラインはノイズだらけです。
特に最近はエアコン、冷蔵庫、洗濯機、照明とインバータ機器(こいつが大電力消費状態で動くと電源波形がガラッと変わります)だらけですし、PLCなんて使ってたら電源線に通信データという盛大なノイズを流してます。
しかも、ご近所で同じトランスを共用してますから、自分の家だけオーディオ以外の電力を全てカットしても無駄な努力です。
仮に。
「ウチのオーディオ機器はノイズに強い」としましょう。
すばらしいですね。どんな環境でも実力を出し切る。工業製品とはかくあるべきです。
で、
次々変化する、オシロスコープで見えちゃうほどのノイズは隠蔽しちゃうけど、測定上全く変化の見えない極めて短いケーブルの違いは表現できると。。。。
もしくは、電源の電流レギュレーション(供給能力)が気になりますか?
それでしたら、コンセントをがっちり噛み込むチャックタイプにするとか、ブレーカー単独で配線引くとかの方がいい気がするんですが。。
または、もし、東日本にいらっしゃるのでしたら、西日本に引っ越されてはいかがでしょうか?
あちらは60Hzですから、50Hz比でトランス電源のレギュレーションは、単純計算2割増し良くなります。
余談ですが、
屋外イベントでアホみたいな音圧出す必要があるときなど、ディーゼル発電機を目一杯調整して65Hz115Vで使うとかは、チラ裏な小技です。
しかも、ディーゼル発電機、他に負荷がないとノイズも乗ってないので音いいです。
本体の運転ノイズは別ですが。w
日産リーフで100V作ってオーディオ動かしたという記事をWebでお見受けました。
これもいいアイディアかもしれません。
(正弦波インバーターで作った100Vってどうよ?という話は一旦こっちに置いておきます。)
そこまでやるなら、どうせアンプはDCで動くので、バッテリーで動かしちゃえ。
ノイズフリーだし、鉛バッテリーは内部抵抗も小さく(数mΩ)、電流レギュレーションも申し分ないです。
今、私が発注しているアンプはバッテリー駆動前提です。
ン万円のACケーブル使っても回避できない電源のノイズとおさらばするのに、追加費用は1万円でおつりが来ます。
繰り返しますが、ケーブルの違いを否定するものではありません。
あくまでも、全体のバランスのお話です。
木を見て森を見ず。とは先人の戒めです。
私なら、ケーブル変える前に、接点磨きます。(笑)