オーディオ全盛期のアンプを修理しよう1
買い物に行ったついでにハードオフのジャンクコーナーとブックオフの105円CDのコーナーに立ち寄るのが、すっかり習慣になりつつあります。
そんなある日、 ジャンクコーナーでサンスイのAU-D607F Extra(1982年製)を発見。
このシリーズは中学高校時代の憧れだったアンプでしたが、当然買えるわけもなく、千葉のオーディオユニオンに通ってはお店の展示品を指くわえてみていたものです。
それがちょっとくたびれた姿で目の前に。。
見ると「ボリュームを絞っても片ch音が出ます」と書いてあります。
触るとメインボリュームがグラグラです。
でも、音が出るなら、アンプとしての機能は生きています。
最悪機能を絞ってもいいし、だめでも部品が何かに使えるべぇと、¥3,150-で引き取ってまいりました。
607,707,907シリーズは、初代から84年のXまで、うちのバッテリードライブアンプを作ってくれた方が開発に携わられていたもので、そういう意味でも興味がありました。
帰ってきて、早速家の外で分解してエアーで内部の埃を払い、簡単に目視点検。
RCA端子は真っ黒。
若干べたついた汚れがあったり、内部の埃もエアーでは取りきれないことから、リビングダイニングか、飲食店で使われてたことを伺わせます。
ボリュームのぐらつきはネジが緩んでるだけのようです。
夜、リビング工房を立ち上げ、動作チェック。
ワットチェッカーで確認しながら電源投入。
無音、無負荷で23W。
数秒でプロテクションも降りました。
・両ch音は出る。
・ボリューム最大で左右バランスはおかしくないので、パワー段のゲインも正常っぽい。
・ボリューム、バランスがガリガリ。
特にボリューム10時以前は片ch音が出なかったり、音が飛んだりと使い物にならない。
・トーンは若干ガリってる程度。
・スピーカーリレー接触不良。
・スイッチはほぼ問題なし。
ということで、摺動部の接触不良だけの予感。。。
トーンのボリュームは外しにくいし、多分使わないのでとりあえずそのままにして、メインボリュームとバランスボリュームを外しました。
メインボリュームはアルプスのミニデテント2連なので新品に交換しようかと思いましたが、中点端子付きの特注品だったので交換断念。
(607Fはラウドネスついてないので、中点なくてもいいんですけどね。)
ということでボリュームを分解清掃し、組みなおして再度チェック。
見事に復活。
流石、アルプスのミニデテント。
ちゃんと整備すれば-70dB表示あたりでもギャングエラーほぼなしです。
ガリもなくなりました。
SPリレーの接点はB&O式でクリーニング。
(パワーリレー接点の自己回復機能を使った単純かつ確実な方法です。)
RCA端子はサビ落とし用のスポンジたわしでゴシゴシ。
接触自体は問題なかったのでそのままでもよかったのかもしれませんが、折角なので磨いたら、あまりに汚れのこびりつきがすごくて、メッキが剥げて真鍮の地が出てきました。
フロントパネル、つまみ類は、修理屋の友「ハヤトール」漬け&歯ブラシでクリーニングして、塗装の剥げたところはマジックでタッチアップ。
出力のDCオフセットとファイナルのアイドル電流を既定値に調整して出来上がり。
あら。。
部品交換なしで修理完了しちゃいました。
ただし、Phono系は未チェックですが。。
音は、懐かしいというか、千葉のオーディオユニオンの店内の匂いを思い出しました。
(ドンだけ通ってたんだろ?)
力強さと繊細さが同居した感じで、さわやかなサウンドです。
あと、トーンスイッチ入れても音が全然変わらない(ノイズが全く増えない)ので不思議だったんですが、この世代(AU-Dx07F〜AU-Dx07G Extra)のトーン回路はパッシブで、ラインアンプ(フラットアンプ)が入ってないんですね。
それと、フォノイコライザー回路までDCアンプになっていました。
(フォノイコライザー回路にDCサーボとオフセット調整があります。)
これはちょっと驚きでした。