dbx4320

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オーディオ全盛期のアンプを修理しよう 4

私がサンスイのアンプを収集し出したのに影響されたか、友人が面白いアンプを見つけてきました。
私の場合、勉強とノスタルジーが半分以上で、 この頃のサンスイのアンプが最強と思って集めてるわけではないですよ、と釘を刺してはいるんですが、見つけてこられたアンプは、ちゃんと動けば今でも一線級のモノです。

モノは、dbx4320。

dbxのパワーアンプというのも珍しいのですが、実はこのアンプ、設計と製造は日本で行われたもので、200台しか作られなかったものです。(オークションに登場する頻度考えると、もしかしたら2000台の間違いかも?)

後にサンスイが高級機に採用することになる(つまり、私の現用8W+8Wアンプにも搭載されている)東芝のPower MOS FET(2SJ115/2SK405)をパラレルプッシュプルで8ペア搭載し、BTL2ch動作時は8Ωスピーカーで350Wx2(4Ωだと500Wオーバー)にもなる強力なものです。
面白い機能として、スイッチひとつでBTLになる仕掛けで、4ch,3ch,2chで動作させられます。

今回は、健康診断と、状況に応じて補修&チューニングを行います。

まずは、恒例、埃払い。
プロ用と言うこともあり、強制空冷のファンがあるので、内部は埃のお布団状態。
ただ、乾いた環境だったようで、べたつきもなく、エアできれいになっちゃいました。

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動作チェックしたところ、
・ch4のインジケータが点かない。
・ch2が出力されない。
・出力のあるchも歪みだけ。(音になっていない)
・無負荷時消費電力12W(いくら何でも小さ過ぎる)
と言った具合で、少々重症。

しかし、でっかいトロイダルコアトランスです。
NET25kgは伊達じゃないです。

パワーアンプモジュールを外して細かく調べていきます。
モジュール構造なので、コツさえ分かれば楽です。
ただ、機構部品が全てと言っていいほどネジで留まっており、このネジの数が三菱車かドイツ車かと思うほど半端なく多い。
これは、毎晩原状復帰が必要なリビング工房ではかなりの時間ロスになります。
と言うことで、作業中はギリギリのネジで元に戻す事にします。

モジュールを外し、

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パワーアンプ基板を外します。
これで1ch分。これが4つ入ってます。

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トランジスタをひとつひとつ外し、このまえ作ったテスターにかけていきます。
すると、全chとも、プリドライバーの片側が異常。
ただ、ラッキーなことに、このトランジスタは、大人買いしてきたモノと同型番。
交換して1chずつチェック。
ここでもう一つの故障発覚。
音の出てなかったch2のチェックをしたらメインリレーも入らず、1kW消費状態でラッシュカレント抑止抵抗が焼き切れました。
まさかのファイナルショート状態。
当初は電源入りましたから、修理でドライバー段が復活したらバランスが崩れてファイナルのMOSが一気にショートモードで逝ったようです。
気を取り直してch3、ch4もチェック。こちらはOK。

あと、モジュール入れ替えてch2の出力端子を確認すると、やはり音が出ません。
リレーを外してチェックしたら、ch2が死んでいました。
(中でカラカラ言ってる。。)

ということで、ch2だけが使えない状態ですが、シングル分を手持ちのMOSに入れ替えてチェックしたら、こちらはOK。
やはり、MOSの塩梅が良くなかったようです。
このMOS FETは、なんとか入手可能です。
(ただし、1店舗のみなのでいつなくなるか。。)

ここでオーナーと相談したところ、ch2のMOSを交換してフル機能復活&BTL専用化&ゲイン変更と指示をいただきましたので、部材を調達してきて作業再開。

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結局、アンプとしては、プリドライバトランジスタ4個、MOS FET4個、リレードライブトランジスタ1個、リレー2個、ラッシュカレント抑止抵抗1個で復活。
入力コネクタ4個、シールドケーブル、NFB抵抗4個を交換、NFBパスにフィルムコン追加、NFB抵抗交換してゲインを20dBに下げ、インプットトリマーと切替えスイッチをバイパスしてBTL専用化。
併せてファンにスイッチ追加して切れるようにしました。

最後にフロントパネルを全部分解して清掃。
そしてもう一度アイドル電流を調整してランニングテスト。

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このアンプは、ダイレクトカップリング(直結)と言う意味ではDCですが、いわゆるDC(直流)アンプではなくACアンプなので、DCオフセット調整なしで出力への直流漏れがありません。
また、BTL接続時のオーバーロード防止用に電源電圧の調整スイッチがついています。
テストではハイでも試験しましたが、お歳を考えてローでの使用を前提に調整しました。
ハイにするとアイドル時の消費電力が4割り増しになります。
元の故障状況からも、ドライバー段の負荷が高い事が伺われ、負荷低減の為には電圧を落とした方がよいと判断しました。
それでも電源電圧は+-60Vを超えていますが。。w
フルボリュームで200W位は出てるようです。

サウンドは、色付けのないすっきりした感じです。
パワーアンプモジュールのみとは言え、電源電圧高いのに、ノイズがまるで聴こえないのが凄いです。

2015年2月 追記、修正
アクセスログを見てて、このページが 古物商の方がヤフオクで出品されたdbX4320のページからリンクされていることに気づきました。
出品者の方及び当該出品物は、私とも、私が修理したdbx4320ともなんら関係ございませんのでよろしくお願いいたします。
(リンクは嬉しいのですが、引用範囲の不明確な文章のコピペはちょっと。。^ ^; )
と思ったら、先ほどリンクとコピペ消して再出品されてました。
(リンクまで消さなくても良かったのに。。)
追記ここまで